2010年10月11日

『半次郎』観た。

幕末の薩摩藩士、人斬り半次郎こと中村半次郎(後の桐野利秋)の半生を描いた映画。半次郎を演じるのは企画者でもある榎木孝明。

「龍馬伝」ではキャストすらされていない、維新の舞台では脇役な存在である中村半次郎を主人公に据えて映画が作れるのかという疑問を抱いていた。実際映画を見た後も、万人受けはしないという印象。さらに編集のせいか話の運びがいささか唐突で、もともと幕末に興味が無い客は話の流れが分からないだろうなと感じた。

しかし、後半の大部分を占める合戦の場面は相当力が入っており、大型映画にひけをとらない。時代劇初出演となるExileのAKIRAも殺陣の動きがダイナミック。回想時の色使いも、過去のモノクロ写真に彩色したような、どことなくレトロな雰囲気が醸し出されて好感が持てた。傑作とまでは呼べないが、決して駄作ではない。

この映画の実現を成し遂げたのは、榎木孝明の熱意に他ならない。尊敬する同郷の英雄、中村半次郎を主役にした映画をとにかく撮りたかったという意志が伝わってくる。実直で情に厚く慕われた人柄を表現し、池波正太郎の小説等により植え付けられた半次郎の残忍な「人斬り」のイメージを覆したかったとのこと。実際、半次郎が人斬りをしたという記録は1件しか残っていないという。

13年前から企画を温めてきたとのエピソードだが、察するにおそらく13年断られ続けたのではないだろうか。とにかく万人受けしない。そのまま作るとキャストが男だけになりそうなので、無理矢理恋愛話を捻じ込んだ感がある。資金集めにスポンサーシップをお願いしても、お偉いさんから「榎木ちゃ~ん、また半次郎の話?」とか言われたのだろう。その横でケータイ小説の映画化に資金がジャブジャブ流れ込む状況に唇を噛み締めたりもしたのだろう。実際、大手の配給会社からはそっぽを向かれたため、自分たちのプロダクションを配給元にして映画館と交渉したらしい

そして衣装協力のクレジットを目にしたとき更に驚いた。鹿児島の高校のデザイン部。大学ですらない、高校だ。予算に相当の制限があったのではと察した。さらに宮崎ロケでは官軍の衣装用に、不要な学生服の寄付を集った。映像では判らなかったが、官軍の帽子はボール紙だ。駆け出しならいざ知らず、とてもテレビドラマのシリーズ主役を張るようなベテラン俳優の仕事とは思えない手作り感。だがここまで面倒なことをしてでも作りたかったのだろう。榎木の華やかなキャリアや端正な顔立ちにはおよそ似つかわしくもない一途さと愚直なまでの泥臭い映画作りこそが、敬愛する半次郎像を最も鮮明に描いているのではないだろうか。

惜しまれる点は榎木が歳を取りすぎていたこと。半次郎と同じく鹿児島出身でジゲン流の使い手であるゆえ、当然薩摩弁も殺陣も堂に入っているが、既に54歳。青年時代のイメージが一致しない。半次郎の享年は40だったので、せめてあと10年早く演じることが出来たらと悔やまれる。もう一点は公開オーディションで選ばれた人材派遣会社社長が演じる西郷隆盛。外見は似ていたけれど、喋らせると芝居の拙さが露呈してしまう。大御所でなくともここは流石にプロの俳優を起用すべきだったのでは。

初日ながら、舞台挨拶の無い午後7時の最終上映なので、165席の劇場席は3~4割ほどの入り。今後の上映時間は未定だそうなので、半次郎と榎木の映画作りに共感を覚えた人はお早めにどうぞ。


posted by つかみ男 at 10:09| Comment(0) | TrackBack(0) | コーヒーキネマ | 更新情報をチェックする

2005年07月07日

華麗なる賭け(The Thomas Crown Affair)・☆☆

お金持ちなのに若いのにハンサムなのに強盗を働くワルさも兼ね備えるという、スティーブ・マックイーン主演の1967年作品。ヒロインはフェイ・ダナウェイ。父に面白いぞ格好良いぞとさんざん爆薦されたあげく、しまいには頼んでもないのにレンタルまでしてきてくれてリビングからお呼びが掛かったので有無を言わさぬ鑑賞開始の実家ライフ。

ミシェル・ルグランの主題歌にはじまるフレンチっぽい音楽や、分割カメラワークは自らの実家ライフとは対照的にお洒落だが、いかんせん主人公に欠点がないため、当時の時流に乗っていない自分からすると、自由と富とファッションに満ち溢れた憧れの対象ではなく、むしろ嫌味に受け取ってしまう。トム・クルーズやケビン・コスナーが、これは映画ではなくイメージビデオですかと云いたくなるほど前に出すぎる作品を見た時におぼえる感覚に近い。日本なら裕次郎や若大将作品といったところか。

フェイ・ダナウェイも上品かつ官能的だが、最初にちょっとだけ出てきたガールフレンドらしき女性の方が可愛かった。

映画史作品としてでなく、21世紀に暇つぶしの娯楽作品として観るにはちょっと無理がありました。
posted by つかみ男 at 23:51| Comment(0) | TrackBack(0) | コーヒーキネマ | 更新情報をチェックする

2005年05月07日

"Shall we ダンス?"

観たのは二回目だけれど、相変わらず面白い。配役をしてから脚本を書いたのかと思わせるほど、キャスティングにハズれがない。「この役はこの役者の方が良かったのに」と思わせられる場面が一つも無かった。裏を返せば、それだけ演技が素晴らしかったということか。

そういった部分を考えると、レッスンを受けるまでもなく華麗なダンスステップをマスターしていそうなモテオヤジ、リチャード・ギアを主役に持ってきたハリウッド版製作者は、本当に何も分かっていないと思う。こちらは観てないけどアメリカでの評判もイマイチだったようだし。同じ大物ならニコラス・ケイジかなと思ったが、真面目そうな感じを出したいので、意外なところでエド・ハリスとかでも面白いかなと思った。軍人とか保安官といった、ちょっと制服組の真面目さだけれど。
posted by つかみ男 at 02:45| Comment(0) | TrackBack(0) | コーヒーキネマ | 更新情報をチェックする
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